頚髄症(頚椎症性脊髄症)の診断

◇ 神経学的所見

  ・ 知覚検査 触覚、痛覚などの検査。一般的には筆(馬の毛)を用い、触覚が調べられる。
  ・ 運動検査 筋肉に力を入れた状態で何も持たずに抵抗を加えて調べる徒手筋力テストなど。
  ・ 腱 反 射 上腕二頭筋、上腕三頭筋などをハンマー(打腱器)で叩打した際、意思とは無関係な筋肉収縮運動(腱反射)があるかどうかを診る。腱反射の減弱や消失がみられる場合は、末梢神経(感覚神経・運動神経)の異常が疑われる。

◇ 画 像 所 見

  ・ X線 (X ray) 単純写真
    紫外線より波長が短い電磁波(放射線の一種)を身体に照射し、フィルムに焼き付けた透視画像。
  ・ CT (Computed Tomograph) X線コンピュータ断層撮影
    X線を身体の周り360度から入射して、組織の厚みや構造によって異なるX線の吸収される度合を全角度についてコンピュータで算出し、身体の内部を輪切りにしたような断面像を作り出す。
  ・ MRI (Magnetic Resonance Imaging) 磁気共鳴画像法
    強力な磁石でできたドーナツ状の装置により、磁気を体内の水分に反応させ、得られた信号を解析、可視化する。様々な断面像の作成が可能。特に脳や卵巣、前立腺等の下腹部、脊椎、四肢などに関して圧倒的な検査能力を持つ。
  ・ 脊髄造影 ミエログラフィー (Myelography)
    脊柱管の中にある脊髄は、硬膜に包まれ、脳脊髄液の中に浮かんでいる。ミエログラフィーは、その脳脊髄液の部位(脊髄腔)に腰椎から造影剤を注入して、X線で拡散の様子を透視・撮影する臨床検査のひとつで、主に脊髄の圧迫病変の有無の評価に用いられる。
   ※ 頚髄症の診断において、X線画像のみでは病変が解かり難いケースがあり、手足のしびれ、頚部痛など、少しでも
  自覚症状がある場合は、早期診断が可能なMRIによる検査を受けられることをお薦めします。
    ■ MRI 画像 正常・異常 例
  頚椎 正中 正常 頚椎 正中 異常 頚椎 水平断 正常 頚椎 水平断 異常
  頚椎正中断 正常 頚椎正中断 異常 頚椎水平断 正常 頚椎水平断 異常

  * 正常例には、正中断・水平断ともに、中央の脊髄の周りに白く脳脊髄液が写っています。異常例では殆ど見られず、
  脊髄自体に圧迫が及んでいることが解かります。

  正常例-出典「MRIデータブック」メジカルビュー社 2006.1.10
  異常例-2003年9月25日撮影 (当会代表が実際の手術(頚椎前方後方除圧固定術)の前に撮影したものです。)